シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』に、ロミオが庭にいるとも知らず、夜のバルコニーでジュリエットが愛を語り、それを聞いたロミオが思わず呼びかけてしまうシーンがある。
ジュリエット:ロミオ、ロミオ、ロミオ… なんであんたはロミオなんよ、もう!
(ロミオが隠れている茂みの草が揺れる)
ジュリエット:誰!?
(静寂)
ジュリエット:なんや、風かいな… しかし、今日の月はバカ綺麗やわ。マジで。逆にイラっとする。マジで。ロミオのこと、盛大に好きやねんけど、家同士がゴチャゴチャしてるから… オトンむかつくわ。マジで。あーあ、お願いやから、ここにロミオを連れて来てくれんかな、マジで…
(そう言いながらバルコニーから部屋に戻ろうとすると、ロミオが茂みから飛び出す)
ロミオ:ジャンジャジャーンッ!聞いてたでーッ!
(ジュリエット、驚いて振り返る)
ジュリエット:え?嘘やろ!?聞いとったん!?めちゃはずいやんかッ!死ぬ。
ロミオ:俺のこと好きなん?キュン死しそうになったやん!なぁ、好きなん?なぁ?
ジュリエット:…。(しばきたい… なんか知らんけどしばきたい)
ロミオ:さっき言うてたやんな?好きやって。
ジュリエット:(まぁえーわ、しゃーない)うん、そうや…好きやねんもん。
これをきっかけに、ロミオとジュリエットは、家同士がもめている中でもそれを乗り越え、夫婦になることができた。
口にするかしないかの差は、とてつもなく大きい。
特に「お願いします」は魔法の言葉。
思っているだけの妄想を現実にする一番の方法は、言葉にすることだ。
夜のバルコニーで、ジュリエットが願い事を口にしたように、僕たちも、ジュリエットを真似て、言葉にしてみよう。
もしかすると、ロミオは随分前から僕たちのすぐ側で、僕たち用の責任を背負ってスタンバっているかもしれない。