珍しく、緊迫した空気の中でのミーティング中、営業部次長が「損か得かの話ではなくて!」と言うところを、
「トンかソクかの話ではなくて!」
と、いきなり「豚足の話ではないんです」と宣言するような言い間違いをして、その場にいた全員の腹筋を崩壊させたことが以前あったけれど、それは置いておいて。
今月は、この「損か得か」ということに関して、思うことがあった。
仕事中、
「あの人はサボっている」
「自分は一生懸命やっている」
「結局、サボっている人の分まで自分がやっている」
という不満の声が上がった。
「なんで自分ばっかり……」
という不条理感。
頑張っている人ほど、そう思うのかもしれない。
自分だけ損をしているような気持ちになる。
でも、本当にそうなのだろうか。
サボっている人は、確かに目の前では得をしているように見える。
仕事をしない。
楽をする。
誰かがやってくれる。
一方で、頑張っている人は、自分の仕事に加えて、人の分まで背負う。
どう考えても損だ。
……短期的には。
でも、時間を少し長くして見てみる。
サボる人は、少しずつ信用を失っていく。
「あの人に任せても大丈夫かな」
「また誰かがフォローしないといけないんじゃないか」
そんな不安が、周りの中に積み重なっていく。
反対に、黙って誰かの分まで支えている人には、
「あの人なら大丈夫」
「あの人に任せたい」
という信用が積み重なっていく。
目の前だけを見れば、損をしているように見える。
でも、長い目で見ると、得ているものが全然違う。
給料には、すぐには表れない。
評価にも、すぐには表れない。
でも、「信用」という目に見えない資産は、少しずつ積み上がっていく。
だから僕は、不満の声を上げた人に、「『損か得か』を考える時に、時間軸も一緒に考えてみようか」と言って説明した。
今日だけを見れば損。
でも、その先は?
1週間後は?
1ヶ月後は?
もっと先は?
その行動を続けた先に、自分には何がある?
そう考えると、同じ出来事でも見え方が変わってくる。
もちろん、何でも我慢して、人の尻拭いばかりすればいいという話ではない。
改善すべきことは改善しなければいけないし、頑張る人ばかりに負担が偏る組織は健全ではない。
ただ、「自分だけ損をしている」と感じた時に、一度だけ視点を変えてみる。
自分は何を失っているのか。
そして、何を積み上げているのか。
損得は、目の前の出来事だけでは決まらない。
そう考えると、「損か得か」を嘆くより、「トンかソクか」で笑い飛ばした方が、やっぱり「得」なのかもしれない。















