少々の散歩では胃に蓄積された食物は消化されなかったが、僕たちには時間が無い。
イタリア人シェフが経営する有名店。
Y氏は見せに入るなり、
「あっ、ジェイソンやんッ!」
と叫びだし、ホールスタッフに、
「この店にジェイソンっています?」
と興奮気味に訊き、
「いえ、いませんけど…」
とスルーされたにも関わらず、
「いや、あれ絶対ジェイソンやわ!」
としつこく食い下がっていた。度を越えた満腹は、人の中枢神経を破壊するらしい。
残念ながらこのお店で得るものは少なかった。
ジェイソンがいなかったのが原因ではない。
5軒目。
ランチの2軒目の店に再来店。
もの凄いウエイティング。
人が溢れかえっている。洋食系でここまで流行っている店は珍しい。
待っている間、外からキッチンを覗き込み観察。
中のスタッフは僕たちをチラ見し、
「あいつらまた来た!」
とあからさまな態度。
気にしない気にしない。
数十分後、店内へ。
活気のある店内。スタッフが活気を作っているのではない。お客さんが活気を作っている。
店長は僕たちに、
「昼とはメニューが違っていて…」
量り売りのワイン、デザートのタルトまできっちり食べた。
今回の視察で得たものは大きい。
体重の増加以上のものを僕たちは得た。
帰りの車の中では、色んなプランが飛び交っていた。
早く企画書を仕上げたい。
もう何も食べたくない。