「言葉が少ない」と思う。
「言葉が足りない」と感じる。
あの時、言ってさえいれば、こんなにややこしくなっていなかったようなことが、あちこちで巻き起こっている。
言葉を待っている人がいる。
ずいぶん経ってから、「ぼくもそう思っていました。」と簡単に言う。それが分かるまで、どれだけの時間を使ったか。
「そう思っていた」ことを、ただ言うだけの、相手のための時間を惜しんで。
言うだけで解決することは多い。
その逆に、言うことで、勘違いが生まれ、傷つけてしまうこともある。
だから、多くの人が、「察して欲しい」と思い、言葉を減らす。
そして、距離が生まれる。
広がってしまった距離を縮めるのは、言葉しかない。
言葉は、触れ合うのと同じように、相手を傷つけてしまうこともあるけれど、温もりや安心感、その人の、人となりのようなものを相手に届け、出来てしまった距離を、急速に縮めてくれたりする。
ぼくのために作ってくれたお弁当、ぼくへのお土産、ぼくへのサプライズ… それらはすべて、ぼくのために使ってくれた、君の大事な時間。
埋め尽くされた言葉。それを見るだけで、その言葉を紡いだ時間を思う。
その時間は、何よりのプレゼントだと、ぼくは思う。