仕事や立場が変わっても、人や、場所によっては、僕はまだ【マッチョさん】と呼ばれている。
【マッチョさん】については、随分前にここでも書いた。
【マッチョさん】は、いつでも僕を、飲食業界と出会った日に戻してくれる。
真っ赤なパンツを履いて、お客さんの肩を抱き、ゲラゲラ笑って戻ってきて、「今の見た?ウケたやろ?」と嬉しそうに言う、当時のお店の社長。
今はもう、一部上場の、世界規模で活躍する経営者となった赤パンツのあの人の姿は、そのまま僕の手本となり、僕の全ての判断基準である「楽しいかどうか?」の礎を築き、この業界で生きて行く決意となった。
それは、甲本ヒロトにとっての、マンフレッド・マン【Do Wah Diddy Diddy】。
神田伯山にとっての、立川談志【らくだ】。
スケールは恥ずかしいほど違うが、それらの逸話と同じように、目に見えない弾丸が、心につき刺さるような衝撃を、あの時、僕は感じた。
「マッチョさん!」
は、飲食業界で働くことの喜びを、いつも思い起こさせてくれる。
仕事や立場が変わっても、いつでも、21歳になれる。
あだ名って、ありがたい。